会社標本調査 ②黒字の割合

posted by 2016.03.30

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 会社標本調査によると黒字法人は1/3しかありません。
では残りの2/3が全部赤字かというとそういう訳ではなく、黒字だけれど繰越欠損金の控除により税金が発生しない法人が4割程度含まれています。
 33%:黒字で税金を払っている
 26%:黒字だが税金を払っていない
 41%:赤字で税金を払っていない

 

 業種別に見ると黒字法人の割合が高いのは建設業(39%)、不動産業(37%)、金融業(36%)で、逆に黒字法人の割合が低いのが料理飲食旅館業(22%)、出版印刷業(22%)、繊維工業(23%)となっており昨今の業種別の経済情勢を表しています。

 

 繰越欠損金については残高が全体で63.9兆円となっており6年連続で減少しています。
リーマン危機後に最大90.8兆円まで膨らみましたが、黒字を出すことで年々欠損金の残高が減っていることになります。

 赤字を繰り越して黒字と相殺している期間(最長9年間)は国としてはその間税収がないので困るでしょうが、企業側としてはある意味チャンスとも言えます。

 赤字を出した以上もちろん財務は傷んでいるのですが、繰越欠損金を消化している間は法人税の支払いがないため、手取り額が4割近く変わってきます
その浮いたお金で借入返済や設備投資をすることで業績の立て直しを図ることができます。

 まただいぶ視点は変わりますが事業承継においてもチャンスと言えます。
赤字を出して会社の株価が下がっている時期に後継者へ株を移転することによって低コストで事業承継と相続対策を進めることもできます。

 

次回は決算書の中身が見える利益や経費の部分を見ていきます。