3000万円控除② 離婚の財産分与

posted by 2016.02.18

離婚届

 

 3000万円控除の2回目はよくある事例として「離婚による財産分与」を取り上げます。

財産分与で自宅不動産を渡す場合の注意点はただ1つ。

 「離婚届を提出してから不動産の名義を変える」

です。なぜそうなるか順に見ていきます。

 まず財産分与には本来税金はかかりません
夫婦で共同で築いた財産を貢献度に応じて分ける作業であるため、贈与ではなく本来の名義に分けただけ、と考えます。

しかし不動産の場合は「売った」と考えてもらった方ではなく渡した方に譲渡所得税がかかります。
1円もお金はもらっていませんが「財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡」と考えて時価で売ったものとされます。
不動産を売って得たお金で財産分与を行なったと考えます。

 この理屈は一般の方にはしっくり来ないと思いますが、言ってみれば税金を取るための理屈です。
時価相当で不動産が動いた以上、含み益には課税しておきたいと税務署は考えます。

 

 離婚で自宅を手放す上に譲渡所得税も払うのは厳しいもんがあります。
そこで使うのが3000万円控除
自宅を売った場合には譲渡益から3000万円を引けます

 ただし3000万円譲渡の要件の中に「売り先が親子や夫婦など身内ではない」というものがあります。
身内での財産の移転はわざと作ることもできますし、節税に使われる恐れもあるため優遇されません。
夫婦であれば3000万円控除は使えませんが、離婚届を出してしまえばその瞬間から他人になるので3000万円控除が使えるようになります。

 

ということで冒頭の注意点に戻ります。

「離婚届を提出してから不動産の名義を変える」