前回の続きで小規模宅地等の特例について事例で確認していきます。
老人ホーム等に入居したまま亡くなった場合も条件付きで適用がありますが、いろんなパターンが考えられます。
① 夫が老人ホーム、妻は自宅
・相続した人:妻
・特例の適用:OK
元々自宅で同居していた妻がそのまま住んでいるので、居住用の要件を満たしています。
配偶者が相続した場合、常に小規模宅地等の特例(居住用)の適用があります。
② 夫婦で老人ホームに入所して空き家
・相続した人:妻
・特例の適用:OK
空き家になりましたが他の用途に使っていないので居住用の要件を満たしています。
①同様、居住用では配偶者は常にOKです。
③ 夫が老人ホーム、妻は以前に死亡
・相続した人:子
・特例の適用:同居親族ならOK、別居親族ならNG、ただし家なき子ならOK
同居していた子が引き続き住んでいれば居住用の要件を満たしています。
別居親族の場合、配偶者や同居親族がいない、持ち家に住んでいない、保有継続といった”家なき子”の要件を満たしていれば適用があります。
④ 夫が老人ホーム、新たに子が居住
・相続した人:子
・特例の適用:NG
空き家になってから他の用途に使っていて、用途が夫の居住用でないため適用がありません。
⑤ 夫も子も老人ホーム、妻は以前に死亡
・相続した人:子
・特例の適用:NG
老人ホームに入居していても適用があるというのは被相続人の居住用であったかどうかの判定時の緩和措置であり、相続人についてはそのような措置はなく、老人ホームに入っていれば住んでいないことになります。
<添付書類>
・要介護認定等を証明する書類(被保険者証の写し等)
・亡くなられた日以後に作成された戸籍の附票の写し
・施設の入居契約書等
入院の場合と比べると書類がいろいろ必要なのは、自宅に戻れないケースが多く、生活の拠点が入院以上に移転しているためです。


