不動産取引が活発化しており、今年自宅等を売却したという方もおられると思います。
その際、契約書に土地と建物の内訳が書いていないことがあります。
消費税が書いてあれば建物部分を逆算することができますが、個人の自宅を売った場合はそもそも消費税がかからないのでそれも書いていないことが多いです。
土地と建物の内訳が書いてないと次のような点で困ります。
<売り手>
・課税事業者の場合、払う消費税が変わる(土地は非課税、建物は課税のため)
・居住用マンションの賃貸のみで消費税が免税であっても、建物の売却額によっては2年後に課税事業者になることがある。
<買い手>
・事業用建物は減価償却費を計上できるが、区分されていないと計算ができない。
・売却した際に取得費の計算ができない。
上記のようなデメリットを踏まえて、契約書に記載がない場合はどうやって土地と建物を区分すればいいのでしょうか。
条文上は「合理的に区分」されていればいいとされていますが、例えば次のような方法があります。
① 固定資産税評価額で按分
売却時点の土地と建物の固定資産税評価額で按分します。
公的な時価であるため、税務署的にも通りやすく、最も無難な方法です。
② 鑑定評価額
不動産鑑定士に依頼して土地と建物を分けてもらいます。
客観的な時価を算定するので税務署的にも通りやすいですが、鑑定費用が数十万円かかります。
③ 不動産業者の査定額
売買の際の不動産業者の査定額は時価を反映しているので、一定の客観性がありますが、①②に比べると根拠がやや弱いです。
方法が複数あるということは、按分額に”幅”があることになり、税金にも影響があります。
極端な例では契約書で土地と建物の内訳をはっきり書いていてもひっくり返されるようなこともあります。
(つづく)


