前回の続きで税務調査の事前準備について見ていきます。
3.書類の準備(1か月前~)
① 会社
調査が来ることが決まり、税目や対象期間が明らかになるのでその期間分の書類を準備します。通常は3年分必要です。
・決算書申告書 ☜税務署は持ってこないため
・基本の帳簿:総勘定元帳、仕訳日記帳、固定資産台帳
・各種帳簿 :売上帳、仕入帳、現金出納帳等
・通帳
・在庫表(最終版及び当初集計分) ☜調整されていないか確認のため両方必要
・領収書及び請求書綴り
・給料関係(タイムカード、源泉徴収簿、年末調整資料等)
・退職金関係 (受給申告書、退職金規定等)
・設備投資関係(見積書、特別償却の証明書等)
・議事録関係 (株主総会、取締役会、稟議書等)
・契約書関係 (賃貸、売買、保険、リース等) ☜印紙も要確認
・基本情報関係(会社案内、組織図、座席表等) ☜給料関係資料との一致
② 税理士
<3期比較決算書の作成>
税務署の担当者は3年あるいは5年の比較表を作ってイレギュラーな動きがないかをチェックしています。
最近ではこのチェック作業はAIがやっているという話もあります。
税理士も同じ視点で書類を作成して聞かれそうなことを想定します。
売上比で大きく変動している経費や資産負債で動きの大きいものについては内容や原因を調べます。
粗利率についても変動が大きければ理由を説明できるよう会社にヒアリングします。
その他基本的な項目としては、収益計上に関わる前受金や預り金、費用計上に関わる未払金、資産計上に関わる修繕費や消耗品費、源泉所得税にも関わる福利厚生費や交際費なども内容確認をします。
<論点の整理>
対象期間の出来事を整理し、聞かれそうな内容を想定します。
例えば、大型の設備投資による消費税還付、退職金や除売却損など臨時損失の発生、貸倒損失、海外取引の増加、関連会社との取引内容などです。
特に関連会社取引や海外取引については必ず聞かれると思って準備しておきましょう。
関連会社取引については金額設定が第三者と同様で寄附にあたるものがないか、海外取引についてはお金や物の流れに応じた処理がされているかといった点を確認しておく必要があります。
(つづく)


