属人的株式とは ①

posted by 2025.06.24

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 前回まで種類株式について解説しましたが、似たことができる仕組みとして「属人的株式」があります。

 

1.定義

 株主は株数に応じて平等に扱われるのが原則ですが、株主ごとに異なる取り扱いができる株式のことを言います。
つまり誰が持っているかによって株の性格が変わります。

 

2.内容

 次の3つの権利について株主ごとに異なる内容を定めることができます。

・剰余金の配当を受ける権利

・残余財産の分配を受ける権利

・株主総会における議決権

 配当や残余財産の分配については特定の株主を多く、あるいは少なくすることができます。
議決権についても、普通は株式数とイコールですが、特定の株主を増やしたり、逆に減らしたりすることができます。

 

<例:議決権>

・父 20株⇒父が持てば議決権10倍と設定議決権200個(71.4%)

・子 80株⇒そのままなので議決権80個(28.6%)

 財産としての株式は子が8割持っていますが、議決権で言うと父が2/3超で強い発言権を持っていることになります。

 

3.活用例

・事業承継時に先代経営者が影響力をキープできる(上記2の例)

・財産的には子ども3人に平等に株を分配しつつ、後継社長1人の議決権を増やして経営しやすくできる

・特定の株主に多く配当したい

 

 発行方法や種類株式との違いについては次回へ続きます。