贈与税の申告状況

posted by 2025.06.5

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 令和6年分の確定申告状況が国税庁から発表されていました。

 

 所得税については定額減税の影響で納税額がある人は減ったものの土地や株式の譲渡所得の増加もあり、所得が前年比+3.2%、納税額は+8.6%となっています。
また、e-TAXの利用率が74%と前年から5%アップし、過去最高となっています。

 消費税についてはインボイスにより新たに課税事業者になった人が増えたことから、納税額は前年比+16.8%となっています。

 

 特徴的だったのが贈与税です。

・暦年課税   :申告人員40万人(前年比▲14.0%)、納税額3274億円(同+9.7%)

・相続時精算課税:申告人員8万人(同+59.2%)、納税額661億円(同+17.5%)

 

 もろに改正の影響が出ています。

 暦年課税については、令和6年分から生前贈与加算の期間が延びています(3年→7年)。
7年以内に亡くなった場合、贈与はなかったことにされて相続財産に戻して計算します。
節税対策にならないことから申告人員は減っていると考えられます。

 一方、相続時精算課税については、令和6年分から年間110万円の非課税枠が創設されています。
110万円までなら生前贈与加算の対象にならないことから、暦年課税の代わりに利用されていると考えられます。
逆に110万円を超える部分については、7年と言わず、何年前の贈与であっても相続財産に戻して計算する必要があります。
両方考えると相続税時精算課税にあまり旨味はないように思えますが、申告人員は約6割増えていて、今のところ税務署の思惑通りに推移しています。