”負”動産の引き取り制度

posted by 2025.06.3

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 価値が低い不動産を国が引き取ってくれる「相続土地国家帰属制度」の利用が急増しているというニュースが出ていました。

 2023年4月に制度がスタート。要件の厳しさから初年度は258件に留まりましたが、2024年度は約4.8倍の1229件と急増しています。

 一体どのような制度なのでしょうか。

 

<狙い>

・相続した土地が利用されず放置されたり、相続手続きもされずに所有者不明土地になるケースも増えている。

相続した土地を条件付きで国に引き取ってもらえる制度を創設

 

<対象者>

・相続又は遺贈により土地の全部又は一部を取得した者

・共有の場合は相続又は遺贈により取得した法定相続人が1人いれば全員分OK

・共有の場合は全員の同意が必要

 

<要件>

・宅地、山林、農地等

却下要件 :建物付き、担保などの権利付き、土壌汚染あり、境界不明、所有権等に争いありなど

不承認要件:崖、地上又は地下の有体物、崩落、害虫などにより通常の管理処分をする上で費用や手間がかかる

 

<費用>

・審査手数料:1筆あたり14,000円

・負 担 金:10年分の土地管理費(原則20万円、一部市街地は増額あり)

 

<手続きの流れ>

① 事前相談(法務局の不動産登記部門)

② 申請書類作成→法務局へ提出(図面、写真、印鑑証明書などを添付)

③ 審査→承認又は却下

④ 負担金納付

⑤ 国へ所有権移転→国が管理

⑥ 入札での売却

 

 土地に対する考え方が変化していることもあり、今後も利用は増えそうです。
相続人にとっては金銭的にも精神的にも負担感はなくなりますが、引き取る国としては管理負担や活用面が課題になってきそうです。