価値が低い不動産を国が引き取ってくれる「相続土地国家帰属制度」の利用が急増しているというニュースが出ていました。
2023年4月に制度がスタート。要件の厳しさから初年度は258件に留まりましたが、2024年度は約4.8倍の1229件と急増しています。
一体どのような制度なのでしょうか。
<狙い>
・相続した土地が利用されず放置されたり、相続手続きもされずに所有者不明土地になるケースも増えている。
→相続した土地を条件付きで国に引き取ってもらえる制度を創設
<対象者>
・相続又は遺贈により土地の全部又は一部を取得した者
・共有の場合は相続又は遺贈により取得した法定相続人が1人いれば全員分OK
・共有の場合は全員の同意が必要
<要件>
・宅地、山林、農地等
・却下要件 :建物付き、担保などの権利付き、土壌汚染あり、境界不明、所有権等に争いありなど
・不承認要件:崖、地上又は地下の有体物、崩落、害虫などにより通常の管理処分をする上で費用や手間がかかる
<費用>
・審査手数料:1筆あたり14,000円
・負 担 金:10年分の土地管理費(原則20万円、一部市街地は増額あり)
<手続きの流れ>
① 事前相談(法務局の不動産登記部門)
② 申請書類作成→法務局へ提出(図面、写真、印鑑証明書などを添付)
③ 審査→承認又は却下
④ 負担金納付
⑤ 国へ所有権移転→国が管理
⑥ 入札での売却
土地に対する考え方が変化していることもあり、今後も利用は増えそうです。
相続人にとっては金銭的にも精神的にも負担感はなくなりますが、引き取る国としては管理負担や活用面が課題になってきそうです。