人手不足や物価上昇を背景に賃上げを実施する企業が増えています。
賃上げをした場合に法人税額を控除する制度として「賃上げ促進税制」がありますが、毎年のように改正が入ってややこしいので、このブログでもよく取り上げています。
令和7年3月決算の改正点としては、控除率アップ、繰越制度の導入、規模に応じた3つの区分などがあり、使いやすい制度になっています。
今回はその中でまず基本となる「給与等」の範囲について確認します。
給与等を明確に把握しないと増えたかどうかを判定できないので、どこまでが給与等に含まれるかは重要です。
<給与等に含む>
・国内雇用者分のみ
・パート、アルバイト、日雇い労働者、スキマバイトも含む
・決算賞与(決算後1か月以内に支払い)
・出向先における出向負担金
・医療介護関連の処遇改善加算
<給与等に含まれない>
・役員分
・使用人兼務役員分(従業員分も含めて全て×)
・役員の特殊関係者である従業員分(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
・出向元が出向負担金として受け入れた金額
・キャリアアップなど各種助成金(翌期入金でも支給決定日が今期なら外す)
・通勤手当(但し、継続的に含めていれば含めてもOK)
・賞与引当金、退職手当
この中で間違えやすいのが使用人兼務役員と特殊関係者分です。
使用人兼務役員の従業員分給料については、雇用保険にも入れて、従業員として賞与の支給も可能など従業員寄りの取り扱いが多いですが、賃上げ税制においては全て役員扱いになり、給与等から外れます。
役員の特殊関係者の範囲は6親等の血族及び3親等の姻族と範囲が広くなっています。
いとこや甥姪はもちろんのこと、はとこ(祖父母の兄弟の孫)まで含むので、社内に遠い親戚がいる場合は注意しましょう。