106万円の壁撤廃!?

posted by 2025.05.19

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 いわゆる”106万円の壁”が撤廃されることが閣議決定され、国会に提出されました。

これはいい話なんでしょうか、それともよくない話なんでしょうか。
いくつもあってややこしい”壁問題”ですが、社会保険に絞って順に見ていきます。

 

<社会保険の壁の種類>

・106万円:勤務先で本人に社会保険の加入義務

・130万円:社会保険の扶養から外れ、本人が社保か国保に加入義務

 130万円以下であれば扶養でいられるので健康保険関連の負担は0円ですが、130万円を超えると社会保険か国民健康保険のいずれかに加入する必要があります。
ただし勤務先の規模など他の条件によって106万円を超えた時点で、会社に加入させる義務が発生するため、本人にとっても保険料負担の壁は130万円より低くなります。

 

<106万円の壁とは>

・勤務先の被保険者の総数が常時51人以上

・1週間の所定労働時間が20時間以上

・賃金が月額8.8万円以上 ※残業代は含まず

・継続して2か月を超えて雇用される見込み

・学生ではない(夜間の学生などは対象)

 上記の条件を満たせば本人に社会保険の加入義務が発生します。
月8.8万円 × 12カ月=105.6万円なので”106万円の壁”と呼ばれています。
時給1100円で週20時間 × 4週で8.8万円になるので、パートの方でもすぐ超えてきます。

 1つ目の条件は「勤務先の被保険者の総数」なので単純な従業員数やパート人数ではなく、社会保険に加入している人の数で判定します。
中小企業の場合は、50人以下であることも多いため、社会保険の壁は130万円になっているケースも多いです。

 

<改正案の主な内容>

・賃金が月額8.8万円以上という条件の廃止(法案成立後3年以内)

・勤務先の被保険者の総数が51人以上という条件を段階的に廃止(2027年10月~2035年10月)

 この2つの要件がなくなると、週20時間以上であれば社会保険に加入することになります。

 

<いい話?悪い話?>

〇:保険料負担を避ける働き控えが減る

〇:社会保険加入により将来もらう年金が増える

〇:社会保険加入で傷病手当金や出産手当金を受け取れる

▲:中小企業の社会保険料負担が増える

▲:本人の手取りが減る

 本人の手取りが減ることに関しては、社会保険料を折半で負担する原則を外して会社が多めに負担する改正が検討されています。
また会社が多く負担した分は期間限定で補助金などで支援する改正も検討されています。

 

 どんな制度設計になっていくのか今後も注視していく必要があります。