法人向け保険契約の留意点

posted by 2025.05.2

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 かつては代表的な節税策の一つに生命保険加入がありました。

 様々な新商品が開発され、それに対して国税庁は規制をしてというイタチごっこが続いていましたが、2019年と2021年に大きな改正が行われ、事実上大幅な節税はできなくなりました。

 それと共に「法人向け保険商品のご検討に際してご留意いただきたいこと」という内容を提示して説明することが業界として必須になっています。

 

 この留意点には保険に対する考え方がまとめられているのでご紹介します。

① 法人向け保険は、被保険者様に万一のことがあった場合、(死亡)保険金等を事業保障資金等の財源としてご活用いただくための、「保障」等を目的とする商品です。

② 支払保険料」を損金算入しても、「保険金」や「解約返戻金」等は益金に算入され、原則、課税される金額は同額となり、節税効果はありません。
法人から役員等への名義変更についても、原則、節税効果はありません。

③ 保険本来の趣旨を逸脱する行為(例えば、「保険料の損金算入や課税時期の繰り延べによる法人税額の圧縮」を主たる目的とする保険加入や名義変更等)は、税務署等からも租税回避行為と認識される可能性があることから、お勧めしておりません。

④ 保険会社は、法令に基づく税務署等からの照会に対して、保険契約の内容に関する情報を提供します。

 

 要約すると、

① 保険は節税ではなく万一の保障のため
② 保険は課税の繰り延べにはなるけど節税効果はない
③ 節税目的の保険加入は税務署に否認されるかも
④ 税務署から保険会社に問い合わせがあれば書類を出します

といったところです。

 従来の保険会社の営業トークを牽制したり、敢えて言ってこなかったことを明らかにすることで保険を正しく使ってもらおうという狙いがあります。

 上記のような考え方を踏まえつつ、資金繰りや税務上の取り扱いも確認した上で加入するようにしましょう。