3000万円控除の最終回は他規定との関係です。
税法には”おいしい”規定は二重には使わせないというセコイ縛りがたまにあります。
3000万円控除にもいくつかありますが、特に注意が必要なのは「住宅ローン控除」です。
3.他規定との関係
・売った年に収用等の特別控除など他の特例を受けていない。
・売った年、前年、前々年に3000万円控除、自宅買い換えや交換、譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例を受けていない。
ここまではあまり出てこない特例なので二重になることはレアですが、バッティングする可能性が高いのが「住宅ローン控除」です。
自宅を売った以上は次のを買う人も多いですし、自宅をニコニコ現金払いで買う人はなかなかいませんので、通常はローンを組むことになります。
・売った年、前年、前々年、翌年、翌々年、翌翌々年、つまり前3年+後3年の計6年間に3000万円控除を使っていれば、住宅ローン控除を重複して使うことができません。
通常は新居をあとに買いますが、住宅ローン控除を受けるためだけに自宅購入を3年遅らせるのも難しいのでどちらかが得かを比較検討していくことになります。
① 3000万円控除
・フルに使った場合:3000万円 × 20.315%=約609万円
② 住宅ローン控除
・令和7年の上限 :4500万円 × 0.7% × 13年=約409万円
実際には、譲渡所得が3000万円も出なければ、①は小さくなります。
また住宅ローン控除については借入残高は減っていくので、②の控除は年々小さくなります。
ちなみに併用できない6年を回避するために、売った年を前にずらす修正申告(引き渡し年から契約年へ変更)をした事例がありましたが、これは認められませんでした。
3000万円控除を使うという選択をして正しく当初申告をしている以上、修正申告できる事由に当たらないためです。
どちらが有利か十分に比較検討した上で3000万円控除を使うようにしましょう。