昨日の記事は個人の株を資産管理会社に移したケースでしたが、株を個人で持つのと法人で持つのとではどういう違いがあるのでしょうか。
上場会社は特殊な面があるので、今回は非上場の中小企業が関連会社を設立する場合で見ていきます。
1.法人株主のメリット(個人株主のデメリット)
① 相続がない
法人には”死亡”はありませんので相続税がかかることがありません。
そのため、資産管理会社を作って会社で株を持てば相続税がかかることはなく、相続の分け方で揉めることもありません。
なお資産管理会社の株主が個人であれば、相続税もありますし、分け方の問題もあるのでそれはそれで対応が必要です。
② 株価が下がる
非上場株式を相続税評価する場合は含み益部分から法人税を控除できます。
個人株主-親会社-子会社の形で、子会社の株価が上昇した場合に法人税分として37%控除できるため、親会社の株価が下がります。
③ 配当の税金がかからない
配当は税引き後利益から行われるため、親会社が子会社から受け取った配当には法人税がかかりません。
個人株主の場合も二重課税を防ぐための配当控除はありますが、一部に留まるので、配当が大きければ総合課税で高額の所得税がかかります(非上場の場合)。
2.法人株主のデメリット(個人株主のメリット)
① グループ法人税制の対象
100%の親子関係がある会社間での取引は、1つの会社の中の動きと同様と考えるため、経費も収入も認識しません。
例えば不動産を親子間で移したとしても、売却損も売却益も発生しません。
グループ内での資産や資金の移動がしやすくなるメリットはありますが、利益調整しにくくなるデメリットもあります。
② 売却時の税金が高い
子会社の株をM&A等で外部に売却する場合、個人であれば売却益に対して20.315%の分離課税で済みます。
一方、法人の場合は通常の法人税の枠組みの中で計算するため、売却益に対して35%程度の法人税がかかり、個人の場合に比べると税負担は大幅に増えます。
結局個人と法人のどちらがいいかと言うと、売却の可能性があるかどうか、配当するかしないかなど様々な要素によって変わってくるのでケースバイケースで判断していくことになります。