「会社にお金を貸した(会社からお金を借りた)のですが、金利を取る必要はありますか?」
たまに受ける質問です。
貸した場合と借りた場合で答えは異なります。
① 役員→会社
・金利なしでOK
② 会社→役員
・金利必要
個人は営利性のみで行動するわけではないので役員が会社へ貸した場合は金利なしでOKですが、会社は営利を追求する組織なので役員は会社から借りた場合は金利が必要です。
金利は金融機関等から借りている場合はその調達金利、それ以外は0.9%(令和4年以降)です。
金利を取っていない場合は役員への給与として課税されます。
①は金利なしでOKと書きましたが、租税回避の意図があれば、金利部分が役員の所得と認定されるケースもあります。
<大阪国税不服審判所(令和6年5月15日採決)>
≪概要≫
・役員から会社へ81億6000万円貸付
・金利は0.008%以下
・無担保、弁済期限なし
≪裁決≫
・金利が著しく低く経済的合理性を欠くため、同族会社の行為計算否認を適用
・日銀の貸出約定平均金利(当時で0.8%前後)で雑所得を認定
≪ポイント≫
・多額の貸し付けなのに無担保で期限なしというのが不自然
・会社は資金繰りに困っていない
・81.6億円の原資は社債の期限前償還。改正で税金が高くなったタイミングで社債から貸し付けに切り替えている(平成27年以前は分離課税で20%、平成28年以後は総合課税で15~55%)
・上記の理由から租税回避以外に合理的な理由が認めらない
今回の裁決は特殊な事例で、一般的にはやはり金利なしでOKです。
ただ担保までは無理でも、金銭消費貸借契約書を作成する、返済期限を定めるといったことはしておいた方がいいでしょう。