婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅等を贈与した場合に2000万円までを非課税とする「配偶者控除」。
「おしどり贈与」とも言われる制度で節税対策として使われることも多いですが、税金以外の部分も含めてメリットや注意点について確認しておきます。
1.贈与税
<メリット>
・基礎控除と合わせて2110万円まで非課税で贈与できる(通常の暦年課税なら贈与税750万円)
<注意点>
・申告は必須
2.相続税
<メリット>
・相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算する必要がありますが、配偶者控除を使った場合には加算は不要
<注意点>
・自宅については小規模宅地の特例により100坪まで8割減できるので相続税的には生前贈与の必要性は低い(100坪超の部分は効果あり)
・相続税の配偶者控除により1億6000万円までは配偶者は無税。超える場合にも法定相続分(通常1/2)までの取得なら無税
3.諸費用
<注意点>
・相続と贈与では登録免許税に5倍の差(相続0.4%、贈与2.0%)
・相続なら不動産取得税なし、贈与なら3%
4.民法
<メリット>
・持ち戻し免除※の対象外(意思表示なくてもあったものと推定)
※持ち戻し免除
相続の遺産分割の際には生前にもらったもの(特別受益)も考慮して法定相続分で分けます。ただし被相続人が生前あるいは遺言の中で「持ち戻しを望まない」ことを意思表示していれば特別受益は遺産分割の対象に入ってきません。
贈与税の配偶者控除を使った場合には、当然配偶者の生活基盤の安定のために行ったのであろうと考えて、意思表示ありと推定します。
5.家庭円満
<メリット>
・感謝の気持ちを表すものとして理屈ではない無形のメリット
<注意点>
・万が一離婚するようなことになればいろいろ大変
申告する税理士としては家庭円満であることを祈るばかりです。