建設仮勘定と消費税

posted by 2025.03.4

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 某積〇ハウスが国税局の調査を受けて、法人税と消費税について7億5800万円の修正申告をしたというニュースが出ていました。

 確定申告の時期は牽制の意味もあって脱税関連のニュースが多いですが、今回の事例は見解の相違があって修正申告に応じたというレベルの話のようです。

 

 指摘内容は「開発物件の工事にかかる仮払い消費税について、工事の進捗に応じて適用していた仕入税額控除が要件を満たしておらず、物件の引き渡しまで繰り延べるべきだ」というものでした。
ニュースの情報だけでは何が問題なのか分かりづらいのですが、建設中の工事にかかる消費税については注意すべき点もあるので解説します。

 

1.法人税での科目

 建設工事のように着工から引き渡しまで時間がかかるものについては、途中の支払いは「建設仮勘定」という科目に集めて処理しておいて、完成引き渡しのタイミングで「建物」など固定資産の科目に振り替えます。

 

2.消費税の控除のタイミング

① 原則

 どんな科目で処理しているかに関わらず、モノやサービスの提供があった期間に消費税を控除します。
工事は途中であっても資材が届けば消費税を含めて代金を支払いますし、基礎工事を外注していて完成すれば請求に応じて代金を支払います。
全体が完成していなくても、それぞれの課税仕入れを行った課税期間に払った消費税を控除するのが原則です。

 

② 例外

 原則的な処理は1つ1つ管理して消費税を控除することになり、処理が煩雑になります。
そこで全部が完成したタイミングでまとめて控除することも認められます。

 

3.注意点

 消費税の原則と例外は、タイミングの問題なのでどちらが得というのはありませんが、払った消費税は早めに控除する方が資金的にはメリットがあります。

 ただし消費税を控除できるのは、あくまでも完了した業務に関する部分だけです。
請負契約に沿って着手金や中間金を払うケースがありますが、これは何かが完了したから払っているわけではなく、分割で払っているだけです。
着手金や中間金も「建設仮勘定」で処理しますが、支払った期間では消費税は控除できませんので注意しましょう。
仮に着手金の請求書に本体と消費税が分けて書いてあっても、何も引き渡しを受けてない以上その段階で消費税の控除はできません。