非上場株評価の格差 ②

posted by 2025.02.5

 前回の続きで非上場株式の評価についてどう格差が生まれるかを見ていきます。

 中規模の会社は「純資産価額」「類似業種比準価額」をミックスして評価します。
そのミックスの度合いは会社の規模によって事細かに分かれています。

使う要素はその会社の「総資産価額」「売上」「従業員数」「業種」です。

 

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<第1段階>

≪基本ルール≫

★従業員70人以上⇒大会社⇒類似業種比準価額

≪注意点≫

 大会社に該当して類似業種比準価額を使えると評価は下がることが多いので人数の数え方も重要になってきます。

・役員は除く(使用人兼務役員は含む)

・直前1年で見るため、中途入社や中途退社の人も含む。

・パート、アルバイトは所定労働時間30時間以上なら1人、それ以外は過去1年の労働時間を1800時間で割ってカウント(週35~40時間程度)

 

<第2段階>

≪基本ルール≫

★総資産価額と従業員数で判定

★総資産価額は業種によって基準が異なる

★総資産価額と従業員数で大中小の低い方を採用

≪注意点≫

・従業員35人超が「大」「中の上」、以下は表を参照

・業種は「卸売業」「小売・サービス業」「それ以外」の3つ

・総資産価額は卸売業の場合、20億円以上で「大」、以下は表を参照

・総資産価額は時価ではなく帳簿価額で判定(決算書の数字そのまま)

 

<第3段階>

≪基本ルール≫

★売上で判定

★第2段階と第3段階で大中小の高い方を採用

≪注意点≫

・売上も3つの業種区分

・卸売業の場合、30億円以上で「大」、以下は表を参照

 

 ちょっと判定が分かりづらいですが、卸売業で大会社として類似を使うには、従業員35人超は必須で、総資産20億円以上か売上30億円のどちらかをクリアすればいいことになります。

 総資産や売上は単位が億なのでそう簡単には変えられませんが、従業員数は一時的に増やすことは可能ですし、身内の従業員もカウントできるので類似狙いで調整している事例もあるようです。

 相続税の評価を下げるためだけの調整はどうかと思いますが、会社成長の目安として総資産、売上、従業員数を意識して結果的に相続税が安くなるのであれば問題ないように思います。