セミナー11時間目は「法人化」です。
個人事業主として起業して、事業が軌道に乗ってくると法人化することも視界に入ってきます。
法人化にはどのようなメリット、デメリットがあるのか、またどのタイミングで法人化すればいいのかについて見ていきます。
1.メリット
① 経営面
・信用力の向上(取引先、人材募集、融資)
・どんぶり勘定からの脱却(個人と法人の資金の区別)
・継続性(法人には相続がない、認可等も途切れない)
② 税務面
・給与所得控除(事業主も給料をもらうので最大210万円の控除可)
・所得分散 (役員報酬として家族に分散すれば税率下がる)
・税率の違い(個人は15~55%の累進、法人は25~35%で固定)
・消費税免税(法人化すれば原則として最初の2年は免税)
・退職金制度(個人は事業主本人に退職金出せないが、法人の役員なら出せる)
・保険加入 (法人は退職金や事業リスク軽減のための生命保険に加入できる)
・繰越欠損金(繰越期間が個人は3年、法人は10年)
・社宅契約 (自宅を社宅扱いにして経費化できる)
2.デメリット
・費用の増加 (設立に30万円程度、その後の税理士顧問料等)
・社会保険の強制加入(役員1人でも社会保険強制)
・事務手間の増加 (個人に比べると法人は作成書類が多い)
3.タイミング
税金的には、個人事業主としての儲け(所得)が800万円を安定的に超えることが1つの目安となっています。
また売上げが1000万円を超えると、その2年後には消費税の納税が始まるので、そこも検討するタイミングです(ただし、インボイス登録すれば2年の免税期間なく、いきなり課税)。
”節税”も法人化を決断する重要な要因ではありますが、まずは経営上の必要性から考えるようにしましょう。
法人でないと取引口座が開けない場合もありますし、法人化して社会保険に加入しないと募集しても人が来ない業界もあります。
経営上の必要性があるなら、その時が法人化に適したタイミングと言えます。
個人事業主の税金に関して12回にわたって解説しました。
全体像を把握するために浅く広く書いていますので、個別項目についてはきっちり調べた上で実行するようにしましょう。
(おわり)