セミナー8時間目はインボイスについて見ていきます。
インボイスとは登録番号入りの請求書、領収書、レシートなどのことを言いますが、個人事業主にどの程度関係があって、どこまで対応すればいいのでしょうか。
1.インボイスは義務?
事業をしていると消費税をもらう側、払う側両方の立場があります。
もらう側で言うと、まずは消費税の課税事業者かどうかで対応が分かれます。
① 従来から課税事業者
・基準期間(2年前)の課税売上高が1000万円超
→インボイスを発行する必要あり
インボイス登録をするかどうかは自由ですが、登録した以上はインボイス入りの請求書等を発行する義務があります。
② 従来は免税事業者で今後も免税事業者
・基準期間の課税売上高が1000万円以下かつインボイス登録もしていない
→特にすることなし
なお、免税事業者であっても請求の際に消費税を乗せることはできます。
あくまで値付けの一部であって、消費税を納める事業者であるかどうかは請求額に直接関係ないためです。
③ 従来は免税事業者で新たにインボイス登録
・基準期間の課税売上高が1000万円以下だが、取引先の要請等により新たにインボイス登録
→インボイスを発行する必要あり
インボイス登録をすると売上が免税事業者の範囲であっても自動的に課税事業者になってしまうので、インボイス登録をしないという選択肢もあります。
ただしその場合、取引先の消費税の納税額が増えることからインボイス登録を要請されたり、値下げ交渉が行われることもあります。
2.経過措置
免税事業者はインボイス登録しないと取引から排除されたり値引きを迫られるリスクがあり、登録すると消費税の納税負担が発生します。
どっちに転んでもしんどいため、期間限定で影響を緩和する措置が取られています。
免税事業者の場合、取引先は払った消費税を控除できませんが、経過措置により3年間(令和5年10月1日~令和8年9月30日)は払った消費税の8割を控除できます。
取引先にとっては払った消費税の2割部分の負担が増えますが、まだ許容範囲かも知れません。
次の3年間(令和8年10月1日~令和11年9月30日)は控除が8割から5割に下がり、その後0割になります。
経過措置の狙いとしては、6年かけて段階的に消費税を控除できなくするので、免税事業者はその間に消費税を転嫁できる体制を整えて下さい、というものです。
インボイスの作り方や払う側の取り扱いは次回以降へ続きます。