国税庁から令和5年度の法人税の申告事績が発表されていました。
これは令和5年4月1日から令和6年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について集計したものです。
<法人税>
・申告所得:85兆円106億円⇒98兆2781億円(+15.6%)
・申告税額:14兆9099億円⇒17兆3924億円(+16.7%)
4年連続の増加で、申告所得としては過去最高の金額となっています。
過去の申告所得の推移では平成21年から右肩上がりで増加し、令和元年にコロナで一旦下がりましたが、そこからまた上昇しています。
・黒字申告割合:36.2%⇒36.0%
・繰越欠損:17兆4295億円⇒15兆5296億円
黒字企業の割合は約36%で大きな変動はありません。意図的に若干の赤字にしている会社もあることもその要因です。
黒字企業の1社当たりの所得金額は8597万円で、大企業も含まれるため、平均値はそれなりに高くなっています。
<源泉所得税>
会社は儲かってるとして、給料がどれだけ増えているかは源泉所得税のデータから読み取れます。
・給与所得:12兆5264億円⇒13兆0002億円(+3.8%)
申告所得の伸び15.6%に対して、給与の伸びは3.8%に留まります。
直近7月の名目賃金の伸びが3.6%なのでデータ的には近い水準となっています。
7月の物価上昇率が3.2%あるので実質賃金の伸びは0.4%ということになります。
7月は賞与月でもあるのでかろうじてプラスになっていますが、手取り増加の実感は乏しいと言えます。
年末の税制改正大綱に向けて、自民党税制調査会のインナー会合が開かれたというニュースも出ていましたが、年収の壁問題や賃上げ税制の充実など手取り増加に向けた議論が進むことを期待したいところです。