在職老齢年金の勘違い

posted by 2024.10.18

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 お客様からよく質問を受ける内容として在職老齢年金の問題があります。
平たく言うと「働いたら年金が減らされるのかどうか」です。

 

 年金を減らされたくないので時間を調整して働く人も多く、人手不足の現状においては制度撤廃を求める声も上がっています。
制度を撤廃すると給付する年金も4500億円増えるため、その財源をどこから調達するかという問題もあります。
そのため、前回の年金制度改正(2020年)での見直しは小粒なものとなりましたが、来年の改正時には改めて議論されそうです。

 

 来年の改正はともかくとして、まずは現行制度についておさらいしておきます。

<概要>

・年金月額+給料が50万円(2024年の基準額)を超えると、超過額の1/2の年金をカット

・例:年金10万円、給料50万円なら年金5万円カット、給料60万円なら年金全額カット

・働きながら払った厚生年金の保険料については、毎年10月の「在職定時改定」により、もらう年金にも反映されます。

 

<ありがちな勘違い>

➀ 年金は全てカットされる?

・カットの対象は厚生年金だけで基礎年金はカットされません。

・基準額50万円との比較にも基礎年金は使いません。

 

② 収入があればカットされる?

・カットされるのは厚生年金に加入して働いている場合のみで、社会保険に加入せずに働く場合や不動産賃貸や株の売却など別の収入がある場合にはカットされません。

 

③ 繰り下げ受給との関係

・年金を繰り下げ受給すると1か月あたり0.7%ずつ増えます。

・カットされるなら繰り下げて増やしたいところですが、カットされた部分は増額の対象外です。

 

④ 70歳超えたらカットされない?

・厚生年金の加入は70歳までなので、70歳以降はカットが無さそうなものですが、入ってるものとしてカットされます。

 

 来年の年金制度改正では、在職老齢年金の廃止や縮小、繰り下げ受給への反映などが議論される見通しですが、就労意欲を阻害せず、払った人が損したと思わない制度にしてもらいたいものです。