選挙が近づくと税金に関してたまに話題に上がるのが『給付付き税額控除』です。
これはどんな制度で、導入される可能性はあるのでしょうか。
<概要>
減税と現金給付を組み合わせた制度。
一定水準の所得があれば税額控除により減税され、一定水準の所得がなければ差額が現金で給付されます。
アメリカ、イギリス、オランダ等で導入されています。
<背景とメリット>
現状でも様々な所得控除や税額控除がありますが、所得水準が低く税負担が少なければ減税の恩恵があまりありません。
そこで控除しきれない部分を現金給付することで低所得者を支援しようとする制度が「給付付き税額控除」です。
バラマキとは異なり、支援が必要な人に絞って給付が可能で、災害時にはプッシュ型(本人が調べなくても自治体から案内が届く)で機動的に給付金を配ることもできます。
また消費税は所得に関わらず税率が同じであるため、「逆進性」(低所得者の税負担が相対的に重い)の問題があります。給付付き税額控除の導入により、この逆進性を緩和しようという狙いもあります。
<課題>
➀ 技術的課題
・国税庁が低所得者に関する所得情報を持っていない。
・申告方式にすると不正給付が横行する可能性がある。
② 経済的課題
・年に一度の給付では生活保障の機能が弱い。
・所得を基準に給付するため、資産を多く持っている人にも給付されてしまう。
制度の理念としては素晴らしいのですが、マイナンバーを含めていかに所得や資産を把握するか、運用コストを抑えつつ不正をどう防ぐかといった課題もあることから簡単には実現しなさそうです。