内閣府が公表した企業版ふるさと納税の2023年度実績によると、寄附件数は1万4022件で前年度の約1.7倍、寄附金額は470億円で前年度の約1.4倍と増加しています。
企業版ふるさと納税は2016年に導入されましたが、個人版ふるさと納税ほとの”お得感”がなく伸び悩み、2019年の件数は1327件、金額は33.8億円に留まっていました。
テコ入れのために2020年に寄附限度が6割⇒9割に拡大されると一気に増加し、件数で10倍、金額で14倍の伸びとなっています。
<寄附額の多い自治体>
➀ 宮城県 25億7950万円
② 宮城県仙台市 24億 400万円
③ 石川県 23億 860万円
④ 静岡県裾野市 22億5170万円
<分野別実績>
➀ しごと創生(地域産業振興、観光振興、農林水産振興、ローカルイノベーション、人材の育成・確保等) 214億900万円
② まちづくり(小さな拠点、コンパクトシティ) 181億5870万円
③ 地方への人の流れ(移住・定住の促進、生涯活躍のまち等) 45億830万円
④ 働き方改革(少子化対策、働き方改革等) 29億2270万円
<税制優遇>
➀ 法人税
・損金算入:通常の国等への寄附と同様に全額経費(税効果は約30%)
② 法人住民税
・税額控除:寄附額 × 40%
・控除限度:法人住民税法人税割 × 20%
③ 法人税
・税額控除:②の税額控除の残額(但し寄附額の10%が限度)
・控除限度:法人税額 × 5%
④ 法人事業税
・税額控除:寄附額 × 20%
・控除限度:法人事業税額 × 20%
➀~④の税額控除の部分を足すと90%になりますが、実際には払った税金による歯止めがあり、9割控除するのは難しいです。
仮に寄附額が100万円とすると利益は約8000万円必要です。
あくまで寄附なので元を取ることが目的ではありませんが、謳い文句通り9割控除するにはハードルが高いことは知っておきましょう。
現行の制度は2024年度で終了しますが、内閣府からは5年延長の要望が出ていて、寄附額も伸びているので延長される可能性が高そうです。
一方、寄附した企業への便宜供与が利益誘導と疑われるような事例も出てきていることから今後はチェックが厳しくなるかも知れません。