遺言執行者と税金 ①

posted by 2024.09.18

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 終活への意識の高まりから遺言を作る方が増えています。
令和5年の公正証書遺言の作成数は11万8981件で4年連続で増えています。

 

 実効性の高い『公正証書遺言』を作成する場合、通常「遺言執行者」を決めておきます。
「遺言執行者」とはその名の通り、遺言の内容を実現するための実務を執り行う人のことを言い、具体的には相続人への通知、相続財産の調査や目録作成、各種名義変更などを行ないます。
もし「遺言執行者」が遺言に書かれていないと、亡くなってから家庭裁判所に専任の申立てをする必要があり、せっかく遺言があっても手続きがスムーズに進みません。

 

 このように遺言を作成する上で重要な「遺言執行者」について今回は解説します。

 

<遺言執行者になれる人>

・未成年者及び破産者はなれません。逆に言うとそうでない限り、誰でもなれます。

・財産をもらう立場である相続人がなることもできますし、弁護士や税理士などの専門家、遺言作成に協力する金融機関などがなることもあります。

・相続人の一人がなる場合、他の相続人からよく思われない可能性もあるため、専門家や金融機関に依頼することも多いです。また専門家や金融機関は手続きに慣れている安心感もあります。

・なお、遺言執行者として指定した人(個人)が相続発生時点で亡くなっている場合、いないのと同じ状態になり、家庭裁判所での専任が必要となります。したがって通常は自分より年上の人を遺言執行者には選びません。なお遺言執行者が法人であれば、解散清算しない限り「亡くなる」という概念はありません。

 

<遺言執行者の報酬>

・専門家や金融機関に遺言執行を依頼した場合、費用がかかります。費用はあらかじめ遺言の中に「遺産の○%」というように書かれているケースが多いです。金融機関の場合はさらに亡くなるまでの間、遺言の保管料が毎年かかります。

・相続人などの身内がなる場合は、特に遺言に記載がなく報酬なしのこともあります。

・身内に頼むと遺言執行報酬がかからないメリットはありますが、相続人間の関係性なども踏まえて遺言執行者を決めていくことになります。

 

 遺言執行報酬には税金との関わりもありますが、長くなるので次回へ続きます。