国税庁から令和5年度の国税の滞納状況が公表されていました。
残高としては4年連続の増加で、9276億円と1兆円に迫る金額となっています。
それでも過去最も多かった平成10年度の2兆8149億円に比べると、約1/3になっています。
残高のうち、最も多いのが消費税で3580億円と全体の4割弱に達します。
新規発生額で見ても消費税が4383億円と全体の55%を占めています。
消費税は利益と関係なく発生し、運転資金に紛れてしまうことから、滞納額は増える傾向にあります。
消費税は無いものとして納税予想額を毎月よけておかないと、決算や予定納税のタイミングでしんどくなります。
支払いが厳しい場合は、できるだけ申告期限内に税務署に相談しましょう。
税務署も鬼ではないので、誠意をもって交渉すれば、分割納付など柔軟に対応してくれます。
一方、悪質な事例には厳格に対応しています。
今年は次のような事例が紹介されていました。
<事例1:差押え回避>
・会社の唯一の財産である不動産を代表者に売却。代表者の貸付金と相殺した。
⇒詐害行為取消訴訟を提起
<事例2:解散>
・税金を滞納したまま解散。会社に差押えできる財産が残っていなかった。
・廃業直前に多額の出金をして、代表者の住宅ローンを返済していた。
⇒代表者に第2次納税義務を賦課して徴収
<事例3:出国>
・不動産を売却して、確定申告するも納付せずに出国
⇒租税条約に基づき、海外の税務当局に徴収共助の要請をして徴収
<事例4:隠蔽>
・預金の差押えを逃れるため、廃業したと虚偽の説明
・取引先に依頼して売上を代表者の息子の口座へ入金させていた。
⇒財産の隠蔽に当たるとして国税徴収法違反(滞納処分免脱罪)で告発
国税庁としては様々な事例を紹介して、逃げ切れないぞというところを周知したいようです。