前回の続きで法人でファンドラップを購入した場合の処理について見ていきます。
個人は雑所得になるなどちょっとイレギュラーな取扱いでしたが、法人は普通の株式投資と変わりません。
ただ普通と変わらないだけにやたら手間がかかるなど大変な面はあります。
<勘定科目(会計)>
・短期の売買目的⇒「売買目的有価証券」
・長期の運用目的⇒「その他有価証券」
<勘定科目(税務)>
・短期の売買目的⇒「有価証券」
・長期の運用目的⇒「投資有価初証券」
・短期の売買目的であることを帳簿に記載⇒「売買目的有価証券」
最後の”帳簿に記載”がちょっと分かりづらいですが、具体的には「売買目的有価証券」という科目を選んだ場合と考えてもらったら結構です。
「売買目的有価証券」という科目を選択すると決算の際に時価評価が必要になります。
含み益があれば法人税が課税され、逆に含み損があれば損失が増えます。
「有価証券」や「投資有価証券」の科目を使っている場合は、法人税法上は決算での時価評価は必要なく、売るまで取得価額で計上し続けます。
<購入後の処理>
ファンドラップは様々な銘柄が頻繁に売買されますが、1つ1つを個別の株式と考えて銘柄ごとに管理する必要があります。
これは運用を任せているもののあくまで売買をしているのは投資家である法人であるためです。
同じ銘柄を繰り返して売買することもあるため、取得原価の単価計算も必要です。
計算方法には「総平均法」と「移動平均法」がありますが、特に届出をしていない法人は「移動平均法」になります。
<手数料>
・取得のための手数料⇒取得価額に含める
・売却のための手数料⇒「支払手数料」
・管理のための手数料⇒「支払手数料」(前払分があれば期間に応じて按分)
個人と比べると、全ての売買を仕訳にする必要があり、事務的にはかなり大変です。
また売買による損益も1つずつ認識するので決算での数字が読みにくい面もあります。
法人でファンドラップを購入する場合はそのあたりも考慮して実行するようにしましょう。