ファンドラップと税金 ① 個人

posted by 2024.08.2

music_rap_battle

 各金融機関が力を入れていることや株高によってファンドラップの販売が増えています。

 金融機関に資金を預けて、投資一任契約に基づいて資産運用を包括的に任せるサービスが「ラップ口座」ですが、そのうち投資信託で運用するものを「ファンドラップ」と言います。

 運用自体は”お任せ”なのである意味簡単なんですが、税金はどう扱われるのでしょうか。
法人と個人で大きく異なるので分けて見ていきます。

 

1.個人

<所得の種類>

・営利目的で継続的⇒事業所得又は雑所得(分離課税)

・所有期間1年超で値上がり益目的⇒譲渡所得

 ファンドラップは金融機関に資金を預けて、頻繁に投資信託の売買を行うものであり、前者に該当します。
事業か雑のどちらになるかは総合的に判断しますが、端的に言うと生活を支える本業であれば事業、そうでなければ雑になります。
総合課税の場合は事業か雑かで損益通算や欠損金繰越しにおいて差がありますが、分離課税の場合は大きな差はありません。

 

<申告方法>

・特定口座源泉徴収あり⇒申告不要

・特定口座源泉徴収なし⇒証券会社の年間取引報告書を元に確定申告

・一般口座⇒個別の売買として集計して確定申告

 ファンドラップ特有の経費として投資顧問報酬や口座管理費がありますが、特定口座であればこれらも考慮した上で損益通算されています。
それ以外の通信費や書籍代等については、特定口座源泉徴収ありでも確定申告すれば経費算入できます。
また同じ分離課税である上場株式や配当との損益通算についても確定申告すれば可能です。

 なお、NISAについては現状では使える金融機関と使えない金融機関があるので個別に確認が必要です。

 

<税率>

・通常の投資信託と同様に20.315%(国税15.315%+住民税5%)

・特定口座源泉徴収ありなら20.315%が利益から源泉徴収され終了

 

 ファンドラップについては「雑所得」に該当する点が特徴的ですが、通常の上場株式と取り扱いは同じで、特定口座源泉徴収ありにしてしまえば手続きは簡単です。

 

(つづく)