前回の続きで金投資の方法と税務について見ていきます。
金はいわゆる”延べ棒”だけでなく様々な投資方法があり、投資方法によって税務の取扱いも変わります。
1.投資方法
① 純金積立
地金商、証券会社、銀行などで月々定額(数千円~)で購入します。
高い時に少なく、安い時に多く買うドルコスト平均法が効くので価格変動リスクを抑えられます。
② 投資信託
投資信託(ファンド)はプロに運用を任せる金融商品ですが、金を対象とするものもあります。
少額から投資が可能で専門知識も不要ですが、ランニングコストとして手数料がかかります。
③ 金ETF
投資信託の一種で、金の価格に連動するように設計されたETF(上場投資信託)です。
購入単位は投資信託より大きくなりますが、手数料は投資信託より安いです。
④ 金地金・金貨
いわゆる金の延べ棒や金貨で記念品やプレゼントとして使われることもあります。
実物だけに世界中どこででも換金できますが、紛失や盗難のリスクがあるので貸金庫に入れるなど対策が必要です。
⑤ 金先物
商品取引会社や証券会社などに証拠金を差し入れて取引します。
レバレッジが効いているため、ハイリスクハイリターンの投資方法であり、上級者向けです。
2.所得税
① 純金積立
④ 金地金・金貨
・総合課税の譲渡所得(50万円の控除あり)
・5年超保有していれば利益を ×1/2できる
・損失は損益通算及び3年間の繰越控除可能
② 投資信託
③ 金ETF
・譲渡所得として申告分離課税(税率 20.315%)
・源泉徴収ありの特定口座なら申告不要
・上場株式との損益通算及び3年間の繰越控除可能
・確定拠出年金やNISAの対象なので、利益は非課税
⑤ 金先物
・雑所得として申告分離課税(税率 20.315%)
・特定口座はなく、利益出れば確定申告必要(サラリーマンの副業で利益20万円以下なら申告不要)
・先物取引内での損益通算及び3年間の繰越控除可能
・含み益の段階では課税なし
非課税枠や1/2課税など税制面でも長期保有に適した投資対象となっています。
なお、金についてはかつては表に出にくい資産のように思われていましたが、平成24年から税込200万円超の売買に関して支払調書(マイナンバー入り)の提出が取引業者に義務付けられています。