iPhoneの免税販売

posted by 2023.01.19

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 アップルが消費税を130億円追徴されたことが年末にニュースになっていました。

 外国人に販売したiPhoneが輸出免税の要件を満たしていなかったことによるもので、アップルもある意味被害者なのですが、国税庁としては不自然な取引きを見抜けない店側の責任として追徴課税を行なっています。

 

 背景にあるのは日本におけるiPhoneの安さと消費税です。
海外に比べ日本での販売価格は安く抑えられているので日本で安く仕入れて海外で販売すれば利ザヤが稼げます。さらに円安であることや消費税がかからないことで利ザヤは拡大します。
iPhoneに限らず百貨店におけるブランド品販売でも同様の不正が増えています。

 

 免税販売が認められるためには次のような要件があります。

・購入者 :入国後6か月未満の外国人旅行者等
・一般物品:1日の同一店舗での販売合計5000円以上
・消耗品 :1日の同一店舗での販売合計5000円以上50万円未満
・購入目的:通常生活の用に供するものを国内で消費せずお土産等として持って出国(転売や事業目的でない)

 iPhoneは一般物品に該当するため、購入金額の上限がありません。
そのため1人で1日に数百台購入しているケースもあったようです。
数百台は極端としても、「通常生活の用に供する」かどうかの明確な基準がないため、お店としては当然多く売りたいですし、判断が難しい面があります。

 

 国税庁としては判断基準の目安として次のような内容を示しています。

① 反復継続的な購入や販売場から携帯して持ち帰ることがおよそ困難である数量の物品の購入である等、当該物品の大きさや用途、販売状況(販売回数、販売数量及び販売金額等)から判断して、事業用や販売用としての購入と見込まれないかどうか。

② 購入される物品の配送先として、国内に所在する個人の住所や法人の事業所等が指定されていないかどうか。

③ 提示された旅券等とは別名義のクレジットカードを用いた決済や別名義のポイントカードの提示が行われていないかどうか。

④ 継続的な事前注文による購入であったり、その決済方法が掛け売りや振込みとなっていたりしていないかどうか。

⑤ その他、事業用や販売用として購入されることが明らかであると見込まれる事情がないかどうか。

 

 アップルでは既に免税販売が中止されており、国税庁としても今年の4月から外国人留学生などの長期滞在者を免税対象から外す改正を行なっています。
それでも不正はまだまだなくならないと考えられるので、免税販売の方法自体を変える必要性も指摘されています。

 インバウンドもコロナ前の半分程度まで回復してきているようなので、税逃れを防ぐ制度設計が求められるところです。