ウクライナ危機や日米の金利差など複合的な要因により急激な円安が進んでいます。
一時は150円台まで値下がりし、32年ぶりの円安水準を記録したため、日銀による為替介入も行われました。
直近でも146円前後で2021年末の115円前後より2割以上下がっています。
企業が保有する外貨建資産の円換算方法については「期末時換算法」と「発生時換算法」とがあります。
決算ごとに期末レートに換算替えをするのが「期末時換算法」で、購入等した時のレートのまま置いておくのが「発生時換算法」です。
換算方法については、特に届出がない場合には種類ごとに法定の換算方法が定められており、また法定以外の換算方法を選択することもできます。
① 外貨現金
・短期長期:期末時換算法のみ
② 外貨預金
・短期:期末時換算法(法定)
・長期:発生時換算法(法定)
③ 外貨建債権債務
・短期:期末時換算法(法定)
・長期:発生時換算法(法定)
④ 外貨建有価証券
・売買目的有価証券:期末時換算法のみ
・売買目的以外(償還期限及び償還金額の定めあり):発生時換算法(法定)
・売買目的以外(償還期限及び償還金額の定めなし):発生時換算法のみ
保有期間の短いものは期末時点のレートでリアルタイムに変動を反映させ、保有期間の長いものは発生した時のレートを据え置くというのが法定換算方法の考え方です。
換算方法を変更する場合には前期中(事業年度開始の日の前日まで)に変更承認申請が必要となります。
ただし、発生時換算法を採用している場合で期末で円換算額が「おおむね15%以上」変動している場合には期末時レートで評価することができます。
この方法は発生時換算法の例外規定なので、期末時換算法のように決算期ごとに洗替をする必要がありません。また変更承認申請のような手続きも不要です。
なお「おおむね15%以上」の判定は個々の外貨建資産等ごとに行ない、特例を使うと決めた場合には該当したもの全てを期末時レートで換算する必要があります。
外貨建債務だけ期末時レートで換算して差損を出して、外貨建資産は発生時レートのままというような”ええとこどり”は認められません。