プロ野球選手の税金

posted by 2022.10.20

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 今日10月20日はプロ野球のドラフト会議の日です。
甲子園、大学、社会人などで活躍した選手がどの球団から指名されるか注目されるところです。

 晴れて契約する日には契約金などがニュースになりますが、新人選手の場合は「契約金1億円+出来高5000万円」が上限とされていて、年俸は1位の選手で1000~1600万円といったところです。
これらの税金はどう扱われるのでしょうか。

 

1.所得税

 プロ野球選手は個人事業主に当たるので所得税が課税されます。

① 契約金

 1億円にそのまま課税されると最高税率の55%(住民税含む)に達するので約5000万円の税金になります。
ただしプロスポーツ選手等の契約金は「臨時所得」として扱われ、5年に分割して受け取ったものとして所得税を計算します(計算上は5年に割りますが払うのは初年度一括)。
所得税は超過累進税率になっているため、所得が大きいほど税率が高くなります。
1億円であれば所得税率が最高の45%ですが、5で割って2000万円で計算すると40%に下がるので1000万円以上安くなります
この計算は入団時の契約金だけに限らず、FAの契約金の際も同様です。

 

② 出来高

 出来高分はシーズンが終わってみないと分からないので契約時点では確定していません。そのため来年の所得になります。

 

③ 年俸

 年俸は給料のように月割にして受け取りますが、個人事業主の売上として所得税を計算します。
来年2月1日のキャンプインの日から正式にプロ野球選手になるため、新人の年俸は来年の所得となります。
経費としては道具代、トレーニング費用、交際費、交通費、車代などがあります。

 球団からの年俸以外にCMやテレビ出演などがあった場合はそれも売上になります。
副業については個人ではなく会社を通じて受け取ることも可能なのでマネジメント会社を作って節税しているケースもあります。

 

2.消費税

① 免税

 契約金も年俸も個人事業主の売上になるので、年間1000万円超であれば消費税の課税事業者になります。
ただし、原則的に1000万円を超えた2年後に課税事業者になるので初年度の契約金には消費税は課税されません。
ただし、インボイス導入後は初年度から課税事業者になることを球団から求められそうなので手取額は減りそうです。

 

② 簡易課税制度

 2年前の売上が税抜5000万円以下であれば簡易課税を選択することができます。
サービス業と同じ5種に該当するので50%をみなし仕入率として控除が可能です。

 

 華やかな世界ですが税金もかなり払っていることになります。
特に引退時は大変で、退職金がない上に住民税が1年遅れでやって来るので資金繰りに注意が必要です。