東京商工リサーチの調査(2021年)によると社長の平均年齢は62.77歳で、70歳以上が最も多く32.7%を占めています。
そして後継者がいないため、2025年までに廃業する黒字の中小企業は127万社あると言われ、仮にこの通りになると650万人の雇用と22兆円のGDPが失われると予測されています。
こういった経緯があり、事業承継時の相続税や贈与税を軽くするために事業承継税制が創設されたのですが、期待したほど活用されていませんでした。
そこで活用のネックになっている部分を期間限定で大幅に緩和する特例措置が導入されています。
一般措置との違いは主に8つあります。
1.計画提出
・一般:不要
・特例:令和6年3月31日までに特例承継計画を知事に提出
計画には後継者候補、承継予定時期、経営課題、5年間の計画などを書きますが、A4で2枚程度なので概要でOKですし、あくまで予定なのでその通りにならなくても構いません。
2.適用期限
・一般:なし
・特例:平成30年から令和9年までの贈与や相続
3.対象株数
・一般:総株数の2/3まで
・特例:全株
一般では残り1/3に対する税負担の問題があったため、特例では全株が対象となっています。
4.納税猶予割合
・一般:贈与100%、相続 80%
・特例:贈与100%、相続100%
5.承継パターン
・一般:複数の株主から1人の後継者
・特例:複数の株主から最大3人の後継者
兄弟で複数代表で経営していく場合が想定されています。
長くなるので6~8は次回へ続きます。