コロナ禍により様々な補助金が導入され、受け取っている会社も多いと思います。
補助金といえども収入なので原則として法人税や所得税が課税されますが、固定資産を取得した場合は圧縮記帳により課税を繰り延べることができます。
圧縮記帳とはどういう仕組みなのか、どのような補助金が対象となるのかなどについて確認します。
1.仕組み
固定資産はすぐに経費にならず、減価償却を通じて経費化されます。
一方、補助金を受け取った場合は返還しないことが確定していればもらった時に課税されます。
すると課税と経費化のタイミングが異なるため、税負担が始めに多く発生し、補助金交付の効果が弱まってしまうことになります。
2.計算例
① 前提
・補助金1000万円
・2000万円の設備(耐用年数10年)を購入
② 圧縮なし
<購入年>
・収 入:1000万円
・償却費:2000 × 0.1=200万円
・法人税:(1000-200)× 30%=240万円
<2年目>
・償却費:2000×0.1=200万円
・法人税:▲200万円 × 30%=▲60万円
③ 圧縮あり
<購入年>
・収 入:1000万円
・圧縮損:▲1000万円
・償却費:(2000-1000)× 0.1=100万円
・法人税:(1000-1000-100)× 30%=▲30万円
<2年目>
・償却費:(2000-1000)× 0.1=100万円
・法人税:▲100万円 × 30%=▲30万円
圧縮することで初年度の法人税負担は減りますが、2年目以降は圧縮した分の償却費が減るため、法人税効果も減ります。
10年トータルすると①と②は同じ結果になるため、”節税”ではなく、課税時期をずらしただけなので”課税の繰延べ”になります。
最終的な税効果は同じですが、導入当初の税負担が減ることで資金繰的にはプラスになり、事業を軌道に乗せやすくなります。
3.対象
① 圧縮記帳OK(固定資産の取得が目的)
・事業再構築補助金
・IT導入補助金
・ものづくり・商業・サービス補助金 等
補助金全額が圧縮記帳できるわけでなく、固定資産の取得に対応する部分のみが対象で経費補填の部分は対象外です。
② 圧縮記帳不可(経費の補填が目的)
・事業復活支援金
・雇用調整助成金
・時短協力金
・キャリアアップ助成金 等
人件費や各種経費などに充てられるため、利益は相殺されることになります。
なお、先に自腹で資産を購入して後で補助金が出るものもありますが、その場合、1年目は普通に減価償却して2年目以降に固定資産の取得価額を修正して帳尻を合わすことになります。