株式投資と確定申告 ⑥ 売却の税率

posted by 2022.01.24

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 間が空いてしまいましたが先週の続きで株式譲渡の税率について見ていきます。

3.税率

① 上場株式

・特定口座(申告不要)  ⇒20.315%の源泉徴収で完結

・特定口座(申告分離課税)⇒20.315%

・一般口座(申告分離課税)⇒20.315%

 上場株式の譲渡に総合課税はありません。

 申告不要でも申告分離課税でも20.315%は同じですが、申告分離課税の場合は口座や年をまたいだ損益通算が可能です。
ただし申告分離課税を選択した場合には、住民税を別に申告しない限り健康保険料等に影響が出ます。

 

② 非上場株式

・通常(申告分離課税)  ⇒20.315%

・発行会社への売却(総合課税)⇒15.105%~55.945%

 非上場株式には副業の所得20万円未満以外で申告不要になる制度はありません。

 発行会社への売却と言うのは自己株式、いわゆる金庫株になるケースです。
この場合、売却益を株の「値上がり益」「利益の還元」とに区分します。
「値上がり益」譲渡所得として20.315%で課税されますが、「利益の還元」は配当とみなされて総合課税されます。
累進課税となるため、配当部分が大きければ税率は高くなります。

 発行会社に売却するとみなし配当に該当して総合課税になりますが、親会社として持ち株会社を作って、持ち株会社に売却すればみなし配当にはなりません。節税策としてよく行われてきた手法ですが近年では合理性がなければ税務調査で否認されているケースもあります。

 また相続により取得した非上場株式を相続税の申告期限から3年以内に発行会社に譲渡した場合にもみなし配当にはなりません。
これは相続税を払うために売らざるを得ない状況を考慮した特例です。

 

 株式の配当や譲渡について確認してきましたが、申告するかしないか、国民健康保険や医療費負担割合などに影響するかどうかなど選択肢があるだけにややこしい部分があります。
予想外の影響で損することがないよう比較検討した上で申告するようにしましょう。