前回まで上場株式の配当について見てきましたが、特殊なケースとして大口株主と非上場株式とがあります。
1.大口株主(上場株式)
① 範囲
・発行済株式の3%以上を所有する個人
② 課税方法
・総合課税のみ(15.105%~55.945%)
一般の株主は、申告不要(20.315%)、申告分離(20.315%)、総合課税のいずれかを選択できますが、大口株主は優遇する必要がないという理由で総合課税しか選択できません。
受け取る配当が大きければ累進課税により税率は高くなります。
③ 改正
令和4年度改正により大口株主の範囲が広がっています。
従来は個人の割合を3%未満に抑えて有利な税制を使いつつ、関連会社で株を持って実質的に大口株主になることが可能でした。
会計検査院の指摘により改正が入り、令和5年からは大口株主の3%の判定を「個人及びその同族会社」で行うこととなりました。
2.非上場株式
① 課税方法
・総合課税のみ
② 少額配当
1回に受け取る配当が年10万円以下※であれば申告は不要です。
無税というわけではなく受け取り時にしっかり20.42%が源泉徴収されています。
大口株主にも少額配当の規定は適用されますが該当するケースはないと思われます。
※10万円 × 配当計算期間の月数(最大12) ÷ 12
上場株式の一般の配当と比べると随分シンプルで「10万円以上受け取っていれば確定申告が必要」と認識しておいて下さい。