昨日の続きで民法改正の遺産分割協議への影響を見ていきます。
所有者不明土地を解消するための民法と不動産登記法の改正が令和3年4月21日に成立し、年末に施行日が決まりました。
<改正内容①>
・背 景:遺産分割協議は期限なし⇒長期化して利用不可能に
・改正点:相続開始から10年経過で原則として法定相続分で分割
・施行日:2023年(令和5年)4月1日
・留意点:施行日時点で10年経過していれば2028年3月31日が期限
<改正内容②>
・背 景:土地建物の相続登記は任意⇒放置され所有者不明に
・改正点:土地建物の相続登記を義務化(相続開始から3年以内)
・施行日:2024年(令和6年)4月1日
・罰 則:10万円以下の過料(病気等でやむを得ない場合は無し)
・留意点:施行日以前の相続発生分は2027年3月31日が期限
・延 長:3年を過ぎても相続人の住所氏名等を届けておけば罰金なしで
登録免許税も非課税(相続人申告登記制度)
相続登記の義務化により、亡くなってから3年以内に分割するか、相続人申告登記制度で連絡がつく状態にして話し合いを続けることになります。
長期化した場合でも10年経てば法定相続分で分割されます。
この場合、生前贈与や介護などの寄与分は考慮されず機械的に分割されるので様々なことを考慮したい場合には10年以内にまとめる必要があります。
どちらの制度も施行日以後の発生分だけでなく、それ以前のものも改正の影響を受けます。相続登記義務化については3年、遺産分割期限については5年経てば全ての案件に適用されます。
施行日は少し先ですが強制力のある改正だけに遺産分割協議のあり方に影響を与えそうで、期限があることで話し合いが進みやすくなることが期待されます。