経費に落とすとは?

posted by 2021.10.28

dentaku_syoumen_big

「これ経費に落としといてー!」とか言ったりしますが、会計や税務の世界には”経費”という用語はありません。

 

 会計や税務では次のような算式で儲けを求めます。

<会計>
 利益=収益-費用

<税務(法人税)>
 所得=益金-損金

<税務(所得税)>
 所得=総収入金額-必要経費

「経費に落とす」のポイントは税金が安くなるかどうかなので、税務(法人税)での”損金”や税務(所得税)での”必要経費”がイメージとしては近くなります。

 会計での”費用”税務の”損金”や”必要経費”と似ていますが一部違う項目もあります。
会計では”経費”になっても税務では”経費”にならないものとして次のようなものがあります。

① 交際費 :大企業は原則全額損金不算入、中小は800万円の枠あり

② 寄附金 :資本金や所得を元に限度を決定

③ 租税公課:法人税等は儲けに課税した結果であるため

④ 減価償却超過額:使用状況などに応じて償却を早めても税務では法定耐用年数の縛りあり

⑤ 役員賞与:上場企業等での業績変動賞与や中小での事前確定の賞与を除いて損金にならない

 このような差が発生するのは「税務会計」「財務会計」では目的が違うためです。
前者は税金を計算すること、後者は経営成績を正しく報告することが目的です。

 会計では事業をする上で必要なものは”費用”になります。
また利害関係人である債権者に堅めの報告をするために”費用”は多めに、早めに計上していきます。
一方、税務では公平に税金を計算するために確定した数値を”損金”として使います。
また交際費や寄附金など極端に払えば税金が減ってしまうようなものや利益操作につながる役員賞与は税務では”損金”になりません。

 目的から考えると”経費”の考え方の差は捉えやすいかも知れません。