電子帳簿保存法の改正 ① 概要

posted by 2021.10.29

jouhou_hanran

 2022年1月から改正電子帳簿保存法が施行されます。

 電子帳簿保存法とは紙で保存が必要だった帳簿や書類(請求書や領収書等)を電子的に保存することを定めた法律で、ペーパーレス化を推進するものです。
法律自体は平成10年にできましたが、厳格さを求めるあまり、使いにくい面が多く大企業での利用にとどまってきました。
その後、要件が段階的に緩和され、安価なアプリの登場もあってだいぶハードルが下がってきました。

 このこと自体は歓迎すべき変化なんですが、税理士や経理担当者を悩ませている問題があります。
それは電子データの紙保存が認められなくなる点です。
昨今、請求書や領収書を電子データで受け取ることも増えましたが、この保存が来年1月から電子データのみに一本化されます。

 

 従来は「メールに添付されたPDFの請求書」「アマゾンやJRなど画面上で表示される領収書」を印刷して紙の書類と一緒にしておけば保存したことになりましたが、来年1月以後はそれができなくなります。
つまり電子データそのものが原本なのだから電子データの状態での保存のみ認める、ということです。
電子帳簿保存はペーパーレス化を進めたい”希望者”だけが関係する制度でしたが、この紙保存が不可になる改正はすべての会社や個人事業者に適用されます。

改正内容としては厳しいなという印象ですが、国としてはルールのない”なし崩し”的な電子化では帳簿や請求書等の信頼性を確保できない(=税務調査しにくい)ので、電子帳簿保存法のベースに乗せたいという発想での改正と考えられます。

 

 保存の仕方については「削除してないから一応残ってる」「メールを探せば見つかるはず」というのは当然ダメで保存にはルールがあります。

① システム関係書類の備え付け

② 見読性の確保 (画面上あるいは印刷して確認可能)

③ 検索機能の確保(日付、金額、取引先で検索可能)

④ 真実性の確保 (タイムスタンプや事務処理規程で対応)

①②はともかくとして、③④はどこまで厳格にしないといけないのか、コストをかけてソフトを導入しないといけないのかという点を次回以降見ていきます。