今さら聞けない減価償却費 ①

posted by 2021.09.2

koujou_kengaku

 今さら聞けない会計シリーズ(不定期思いつき企画)

 今回のテーマは「減価償却費」
分かるようで分からない代表的な科目です。
長年仕事をしていてもバッチリ説明するのはなかなか難しいですが順に見ていきます。

 

<考え方>

 中世イタリアで誕生した会計(複式簿記)ですが、日本において会計の憲法と言えるのが「企業会計原則」です。
継続性の原則、重要性の原則など様々な原則がありますが、その1つが「費用収益対応の原則」

「費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。」

 一言でいうと売上げと経費を期間対応させて。正しい期間損益を認識しましょう、ということです。
例えば大量に仕入れをしても在庫として売れ残れば、その年の売上げに対応しないので棚卸資産として計上され、その年の経費(原価)になりません。
機械など固定資産などについても同様で10年使える1000万円の機械を購入した場合、買った年に1000万円を経費にするのではなく、10年間でならして100万円ずつ経費にします。

 

<耐用年数>

 固定資産を何年で経費にするかという耐用年数については、物理的・経済的に使用可能な年数を法律で定めています。
法律で定めておかないとその都度見積もるのは大変ですし、税金の計算に公平性が保てないためです。

 なお会計上必ずしも税法上の耐用年数に合わせる必要はなく、会社独自の耐用年数で減価償却費を計算することも可能です。
ただし税法上の耐用年数による減価償却費との差額については税金を計算する際に調整する必要があります。

 

<減価償却しない資産>

 長期間にわたって使う資産であっても、時の経過や使用によって価値が減らないものは減価償却の対象とはなりません。
例えば、土地、電話加入権、書画骨董、稼働休止中の資産については減価償却することはできません。

 

ここまでは比較的分かりやすいと思います。

次回は少額な資産の処理とキャッシュフローについて見ていきます。