使用貸借と税金 ②

posted by 2021.09.1

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 前回の続きで使用貸借と相続税の関係について見ていきます。

 

<評価額>

・借主

 使用貸借契約は借主の死亡により終了するので原則として相続されることがありません。

・貸主

 使用貸借は弱い権利なので契約時に贈与税がかからないことを前回確認しましたが、その裏返しで貸主が亡くなった場合にも借地権のような控除がありません。
賃貸借であれば借地権として控除(通常60%)できるところが、使用貸借では全く控除できず自用地評価となるので評価額としては高くなります。

 

 また少し特殊な論点としては利用区分に関することがあります。
自宅の敷地の一部に子どもの家を建てて地代を受け取ってなければ使用貸借に該当します。
使用貸借は「なかったこと」として扱われ、貸主が自分で使っているのと同じなので、評価する際は隣りも合わせてひと固まりの土地として評価します。

 

<小規模宅地の評価減>

 被相続人が事業、居住、貸付の用に供していた土地については小規模宅地の評価減により、50~80%減額できます(面積は200~400㎡)。

 使用貸借で貸している土地については被相続人の事業、居住、貸付けのいずれにも該当しませんが、小規模宅地の評価減を受けられるケースがあります。
小規模宅地の評価減は被相続人本人だけでなく、同一生計親族の事業や居住の用に供されていた場合にも適用があります。
借主が同一生計親族であれば、使用貸借であっても小規模宅地の評価減の適用があることになります。
ただ、別に住んでいれば別生計であることが多いため、小規模宅地の評価減を受けられるケースは限定的と言えるかも知れません。

 

 使用貸借は事実上拘束されているのに更地と同じように評価されるので相続税は高くなります。
身内に貸している場合は難しいかも知れませんが、賃貸借への変更も検討の余地があります。