相続税の電子申告

posted by 2021.07.9

unnamed

 国税庁のHPに相続税の電子申告を勧めるお知らせが出ていました。

 相続税の電子申告自体は令和元年1月1日以降に亡くなった人からできますが、令和3年1月4日から修正申告も可能になったので案内しているようです。
所得税や法人税等の電子申告普及率は60~90%と高いのに対し、相続税は始まったばかりで公開されていませんが、恐らく低いと思われます。

 理由としては、毎年あるような税金ではなく単発の申告なので手間はそれほど減らないこと、内容自体が繊細なので税理士としてはハンコをもらっておきたい、ということもあると思います。

 

 遺産分割自体は実印のある遺産分割協議書で内容は確定しますが、相続税申告書にしか書いていない情報もあります。
例えば小規模宅地の評価減を誰のどの土地で適用を受けるかによってそれぞれが払う相続税は大きく変わりますが、遺産分割協議書にその情報はありません。
電子申告で提出していて「申告書を見てない」「聞いていない」という水掛け論になっても困るので、紙の申告書にハンコをもらうか、確認書などを作っておいた方がいいかも知れません。

 

 一応、相続税の電子申告の案内も書いておきます。

<必要なもの:相続人の利用者識別番号>

 亡くなった人ではなく、相続人のものが必要です。
利用者識別番号は従来から所得税などで電子申告している場合のほか、税務署の相談会場に行ってその場で送信している場合にも番号がついています。

 

<注意点>

 利用者識別番号を基準にするので、番号の入力がないと申告したことになりません。
また相続人間で番号を逆にしてしまうとその内容で申告したことになってしまいます。特に救済措置はないようでQ&Aにも「気をつけて下さい」としか書いていません。

 

<電子申告の範囲>

 申告書はeーTAXまたは民間の会計ソフトで作成し、添付書類はPDF等で添付します。
修正申告だけでなく、更正の請求書、所得税の準確定申告書も電子申告が可能です。

 なお税理士が代理送信する場合は、相続人全員分をまとめて申告できますが、相続人が自分で電子申告する場合は原則に戻って1人ずつ別々に申告する必要があります。

 

 現状の仕組みではいろいろややこしいので相続税の電子申告はあまり普及しないのかも知れません。