賃貸借契約のルール変更 ③

posted by 2021.07.8

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 前回の続きで賃貸借契約のルール変更の最終回です。

 

2.賃貸借終了時のルール

② 敷金に関するルールの明確化

<事例>
・保証金を差し入れているが、家賃の滞納があるわけでもないのに、貸主が退去時に返してくれない。

<改正前>
・敷金の定義や敷金返還請求権の発生時期の規定なし

<改正後>
敷金=「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義
敷金返還債務は、賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で発生
・その金額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額

 

3.賃貸借契約から生ずる債務の保証に関するルール

<事例>
・賃貸借契約の保証人になって莫大な金額を請求された。

<改正前>
・連帯保証人の責任範囲は無制限

<改正後>
・極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効

※根保証契約
 賃貸借契約の連帯保証人のように継続的な契約による不特定の債務を対象とする保証契約

 

4.賃貸借の存続期間

<改正前>
・存続期間の定めあり:最長20年
・借地借家の場合は30年以上(期間の定めなければ30年)

<改正後>
・存続期間の定めあり:最長50年(更新期間は50年以内)
・借地借家については変更なし

 

5.経過措置

・施行日(2020年4月1日)後に締結した契約から新民法を適用
・施行日後に更新があった場合は新民法を適用(賃貸借と保証はそれぞれ合意更新を判定)

 

 今まで法的にあいまいであったためにトラブルになっていたこともありましたが、今回の改正で明確になったことは貸主借主双方にとってプラスと言えるでしょう。