賃貸借契約のルール変更 ②

posted by 2021.07.7

house_amamori

 前回の続きで賃貸借契約のルール変更について見ていきます。

 

1.賃貸借継続中のルール

① 賃借物の修繕に関する要件の見直し

<事例>
エアコンが故障したが貸主がなかなか修理してくれない
・台風で屋根が壊れ雨漏りしている。次の台風が怖いので早く修理して欲しい

<改正前>
・貸主の所有物なので借主が勝手に修繕できない(規定なし)

<改正後>
・借主から貸主へ必要性を通知または通知したのに相当の期間内に貸主が修理してくれない、あるいは急迫の事情があるときは借主が修理できる(あとで貸主に請求)
・使用できない部分の家賃は当然に減額される

 

② 賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化

<事例>
・貸主が物件を売却した際に、借主は「どちらに払えばいいか分からない」と言って払わない

<改正前>
・規定なし

<改正後>
・賃貸借契約の対抗要件があれば、貸主の地位は売却後の新貸主に移転する
・売却した物件の所有権移転登記がされていることが条件

 

2.賃貸借終了時のルール

① 賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化

<事例>
・退去時に日焼けしたクロスの張替え費用を貸主から請求された。経年劣化は貸主負担では…。

<改正前>
・規定なし
・一般的には通常損耗や経年変化は貸主負担なので原状回復不要

<改正後>
・借主は賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負う
・ただし通常損耗や経年変化は対象外

〇 現状回復不要
 家具設置のへこみ、電化製品の黒ずみ、地震で破損したガラス、鍵の取り替え等

✕ 現状回復必要
 引っ越し作業のキズ、不適切な手入れや用法違反による設備毀損、たばこのヤニや臭い、ペットによるキズや臭い等

 

 長くなったので、敷金と債務保証に関しては次回へ続きます。