株取引のマイナンバー登録

posted by 2021.06.8

4947070_s

 マイナンバーの導入目的の1つとして『税金を正しく効率よく徴収する』ということがあります。

 

 証券会社での株の取引に関しては、2016年から新規口座開設時のマイナンバー登録が義務化されています。
それ以前からある口座については、2018年末が登録期限とされましたが、登録しても特にメリットがないし、マイナンバーによる監視の警戒感もあって登録は低調。
2018年6月の段階で40%程度しか登録されていなかったため、期限が2021年末まで3年延長されました。

 登録を待つだけでは埒が明かないので、2019年の税制改正により職権でマイナンバーを調べて登録できる制度が導入されました。
具体的には『証券会社⇔ほふり(証券保管振替機構)⇔地方自治体』の連携により、本人からの情報提供がなくても証券会社はマイナンバーを登録できることとなりました。
なおこの制度は強い権限があるだけに2020年4月~2021年12月までの期間限定の特例となっています。

 今年の末までには100%近い登録率になりそうですが、そのことにより税務調査はしやすくなる面があります。
「特定口座源泉徴収あり」の場合は売却益や配当に対して、20.315%が源泉徴収され、課税関係が完結するので税金の漏れは起こりません。
一方「特定口座源泉徴収なし」や「一般口座」で利益が出ている場合は確定申告が必要です。
申告漏れがある場合は、従来からある支払調書によって把握は可能です。
ただし、複数の証券会社で取引があれば情報収集と名寄せが必要であるため、手間がかかっていました。
各証券会社の口座にすべてマイナンバーがあれば名寄せがすぐできるので効率的に税務調査をすることができます。

 

 コロナ禍により、接触での税務調査が難しいだけに書類だけで漏れがはっきりする税務調査は今後強化されていきそうです。