役員への還元方法

posted by 2021.06.7

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 役員報酬は”定期同額”が原則であるため、変更する場合は通常期首から3か月以内に決定する必要があります。
いったん決めた以上はよほどの業績悪化や役位の変更がない限り1年間は変更することができません。

 上場会社であれば、業績連動給与や株式報酬など様々な選択肢がありますが、非上場の中小企業の場合はどういった利益分配の方法があるのでしょうか。

 

① 役員賞与
<概要>
・業績や貢献度に応じて役員に支給します。
・時期は自由ですが従業員と同じ時期に支給することが多いです。

<メリット>
・単発で出せるので翌年以降に引きずりません。
・損金算入できませんが、その分自由度は高くなります。

<デメリット>
・税務上経費(損金)にできません。

 

② 賞与
<概要>
・使用人兼務役員や執行役員に対しては、従業員と同じように賞与を支給できます。
・支給時期や水準は従業員と同等である必要があります。

<メリット>
・税務上経費にできます。

<デメリット>
・純粋な役員には使えません。

 

③ 事前確定給与
<概要>
・期首から2か月以内に賞与として届けておけば役員にも賞与を支給することができます。

<メリット>
・税務上経費にできます。

<デメリット>
・事前に決めるので業績と連動しません。年俸を12ではなく13か14で割っているのと変わらないと言えます。
・届出とピッタリ同額しか出せません。額が異なると丸ごと損金不算入です。

 

④ 役員報酬増額
<概要>
・賞与が出せないので、プロ野球選手のように翌年の役員報酬に上乗せします。

<メリット>
・定期同額なので損金算入できます。

<デメリット>
・報酬が固定化してしまい下げにくくなります。

 

⑤ 配当
<概要>
・中小企業は「役員=株主」であることが多いので、株数に応じて配当として支給することも可能です。

<メリット>
・業績に応じて配当できます。
・役員ではないが還元したい人、例えば勤務していない創業者の親族などが株主である場合に還元できます。

<デメリット>
・税引後利益から配当するので税務上経費になりません。

 

 それぞれ一長一短があり、要件も異なります。
また役員や株主が親族だけなのか、親族以外が多いのかによっても選択肢は変わってきますので会社の状況に応じてベストな方法を決めていくことになります。