インボイス制度とは ①概要

posted by 2021.05.25

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 国税庁に特設コーナーが設けられるなどインボイス制度の導入が迫ってきました。
と言っても始まるのは令和5年10月1日です。
その準備段階の作業である「事業者の登録申請」の受付けが令和3年10月1日から始まりますのでインボイス制度について改めて確認していきます。

 

<インボイスとは>

 「invoice」を日本語に訳すと「請求書」になりますが、消費税の世界では「売り手が買い手に正確な適用税率や消費税額等を伝える適格請求書」と定義されています。

 

<従来との違い>

 消費税は最終消費者が負担しますが、事業者においては預かった消費税から支払った消費税を控除して差額を国に納付します。

支払った消費税を控除(仕入税額控除)するのに必要になるのがインボイス(適格請求書)です。
従来は通常の請求書や領収書を保存しておくことにより仕入税額控除ができていましたが、改正後は登録事業者から発行された適格請求書でしか仕入税額控除ができなくなります。

売り手が登録事業者となるためには申請が必要で、審査を経て登録事業者として認められます。
その申請が始まるのが令和3年10月1日です。

 

<インボイス制度の目的>

≪建前≫
 令和元年10月1日に消費税が10%に引き上げられましたが、その際食品などについて軽減税率8%が導入されました。
今後も税率アップが考えられ、経理処理がどんどん複雑になります。
そこで請求書に消費税額や消費税率を明示して計算しやすくすると共にミスや不正を防ぐのが目的です。
消費税が重要な税収であるヨーロッパにおいてもインボイス制度は広く導入されています。

≪本音≫
 日本で消費税が導入された際、事務の簡便化の観点からインボイスではなく税込金額の総額から消費税を計算する方法が採用されました。
そのため、売り手が消費税の課税事業者かどうかに関係なく、買い手では仕入税額控除できていました。

また売り手は課税売上高が年1000万円以下であれば免税事業者となり、消費税を預かっていても納めなくてもいい”益税”が発生していました。
改正により登録事業者が発行したインボイスでしか仕入税額控除ができなくなります。
そうなると免税事業者である売り手は取引条件で不利(消費税分割高)になってしまうため、登録事業者を選択することになります。
登録事業者になると免税事業者から課税事業者に変わるため、益税問題の解決につながると考えられています。

 

 次回から制度の詳細について見ていきます。