表賞金と税金②

posted by 2021.05.24

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 前回の続きで表賞金のうち、福利厚生の性格があるものの税金について確認します。

福利厚生の性格上、従業員全員に平等に機会があることが前提です。

 

① 創業記念品を社員全員に支給

 次の要件を満たせば給与課税はありません。

・記念品が社会一般的にみて妥当
・記念品の処分見込価額による評価額が税抜1万円以下
・一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、概ね5年以上の間隔で支給

 社会一般的に妥当かどうかの判断に幅はあるものの金額の形式基準1万円が歯止めになっています。

 

② 10年の創業記念で商品券1万円を全員に支給

 ①で挙げた要件に当てはまりそうですが、何でも買えて換金もできる商品券の場合は現金を渡したのと同様であるため、給与課税されます。

 

③ 創業記念でカタログギフトを全員に支給

 ②と同様好きなものを自分で選べることから現金に近い性格があり、給与課税されます。

 

④ 永年勤続10年の社員を1泊2日の国内旅行に招待

 次の要件を満たせば給与課税はありません。

勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内
勤続年数が概ね10年以上
前回表彰から概ね5年以上の間隔があいている

 

⑤ 永年勤続10年の社員に旅行代わりに現金支給

 コロナ禍で旅行にも行きづらいことから現金や商品券で支給することもあると思いますが、自由に使うことができることから給与課税されます。

ただし、旅行券で次の要件を満たせば給与課税はありません。

旅行券の支給後、1年以内に利用
・1年以内に利用しなかった場合は会社に返還する
・旅行範囲が支給額相当
・旅行に行ったことを報告書や資料で提出

 ここまでしていれば旅行に使ったことが間違いないため、給与課税なく好きな場所に行けることになります。

 

⑥ 祝い金や見舞金の支給

 表彰ではありませんが、結婚祝いやお見舞いでモノを渡すことがありますが、常識の範囲内であれば給与課税はありませんし、現金や商品券でも同様です。

 

 ①~⑥に共通しますが、えこひいきなく平等に扱っていることを証明するために福利厚生規程慶弔規程があった方がいいでしょう。
金額が常識的な範囲内かどうかの判断は税務署にとっても難しいだけに、規程があることで恣意的でないことが証明され、税務調査で通りやすくなる面があります。