前回の続きで電子取引データの保存について見ていきます。
帳簿の電子化は1998年に制定された電子帳簿保存法からスタートしています。
紙の書類を電子化して保存の負担軽減や合理化を進めるのが目的で、その後スキャナ保存を認めるなど利便性を高めるために改正が行われてきました。
令和2年10月の改正では、紙を使わずに直接電子取引するケースが増えていることから、データ保存の要件が緩和されています。
1.電子取引データの保存義務
電子取引を行った場合には、データのまま保存するのが原則です。
データで受け取ったものを紙で打ち出して保存する方が例外となります。
原則がデータ保存であるため、特に税務署への事前申請は必要ありません。
ただし、保存要件は定められています。
2.電子取引の例
メール、EDIシステム、クラウド、FAX、フラッシュメモリー、決済事業者などにより授受されるデータ
3.保存場所
原則:納税地
例外:納税地においてディスプレイで確認できて、プリンタで印刷できる状況であればOK
4.保存期間
紙の場合と同じ(税務上の原則は申告期限から7年間)
5.保存要件
① 関係書類の備え付け
システムが自社開発やクラウドの場合はシステムの概要を表す書類や開発関係書類の備え付けが必要です。
またマニュアルの備え付けも必要です。
② 見読性の確保
ディスプレイ上やプリンタでの印刷により、「整然とした形式で明瞭な状態で速やかに出力」できる必要があります。
③ 検索機能の確保
ただPDFファイルがファイルに並んでいるだけではダメで、年月日、金額、名称等で検索できる必要があります。
検索については範囲指定や複数条件の設定ができることも条件です。
④ データへの措置
データが改ざんされていない正しいものであることを証明するための措置が必要でこの部分が改正されていますが、長くなるので次回へ続きます。