データの電子保存 ②

posted by 2020.10.14

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 前回の続きで電子取引データの保存要件に関しての改正項目を見ていきます。

 電子取引データ、例えばエクセルやワードのファイル、PDFなどは手書きの書類に比べると”いじる”のが簡単です。
でもそれだと信頼性が確保できないため、データに対して”措置”を行うことが保存要件となっています。
その方法は次の4つで、このうち①と③は令和2年10月の改正で追加されたものです。

① タイムスタンプ付与データの授受

② 電子取引データの授受後遅滞なくタイムスタンプを付与

③ 訂正削除できないシステム等を使用して電子取引データを授受及び保存

④ 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け及び運用

 

① タイムスタンプ付与データの授受

 タイムスタンプとは電子取引データの作成時刻に関する信頼性を確保する技術的な仕組みです。公証役場に確定日付という仕組みがありますが、その電子版とも言えます。
 このスタンプを誰でも押せたら証明にならないため、一般財団法人日本データ通信協会が認定したものに限られます。現在認定されているのは32社で、freee、弥生、TKC、セコムなどが含まれています。
 会計ソフトや経費精算など既存の商品と組み合わせているものが多いですが、使った分だけ払う従量制のものだと1000スタンプ8000円程度となっているようです。

 

② 電子取引データの授受後遅滞なくタイムスタンプを付与

 ①はデータ自体にスタンプが押された状態で取引するものですが、②は送った人、受け取った人がそれぞれ取引後すぐにスタンプを押す方法です。
この方法は担当者又はその上司に関する情報を明確にしておく必要があります。

 

③ 訂正削除できないシステム等を使用して電子取引データを授受及び保存

 取引データの訂正や削除が物理的にできない、あるいは訂正や削除をした場合に全ての履歴が残るシステムであれば信頼性は確保されます。

 

④ 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け及び運用

 責任者、ワークフロー、業務サイクルなどを社内規程で定めてチェックが働く仕組みを作って運用する方法です。

 

 タイムスタンプが押せる会計ソフトや経費精算ソフトの価格が下がっていることから①が使いやすいですし、自社開発する場合でも③で対応できるため、改正によりデータ保存をやりやすくなったと言えます。

 

 まだまだ電子データと紙が混在する状況ですが、税務署への申請が不要で、価格的にも敷居は低くなってきたことからできるところから電子保存を検討されてはいかがでしょうか。