M&Aとは

posted by 2020.08.4

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 コロナの影響で相続事業承継について考えた方が多かったようです。
M&A仲介のストライク調べでは、2020年1~6月でのM&Aの件数は406件と前年同期を11件上回り、高水準で推移しています。
海外案件は減少しているものの国内案件が増加しているようです。

 

 M&Aとは「ergers(合併)」と「cquisitions(買収)」の略です。
さらに買収には様々な形態があり、株式取得、事業譲渡、会社分割が主なものですが、その特徴と税務的な取扱いを見ていきます。

 

1.合併

① 特徴
 合併には、吸収合併(A社+B社=A社)と新設合併(A社+B社=C社)がありますが、手間とコストの面で吸収合併が一般的です。
存続会社は消滅会社の全ての権利義務を承継するので、ヒト・モノ・カネなど経営資源の全てがスピーディーに手に入る反面、簿外債務を引き継ぐリスクもあります。

② 税務(吸収合併)
 消滅会社の資産の移転に関しては簿価と時価との差額に法人税が課税されるのが原則ですが、組織再編の要件を満たして適格合併に該当すれば、課税は繰り延べられます。

 

2.株式取得
① 特徴
 会社の株主が変わるだけなので、会社の事業に影響はなくそのまま継続します。売り手としては現金が入ってきてリタイヤしやすく、買い手としてはそのまま事業継続できるので中小企業のM&Aでは最も一般的です。

② 税務
 売り手(個人)には譲渡所得として申告分離課税で20.315%の所得税住民税がかかります。法人であれば取得価額との差額に通常の法人税がかかります。

 

3.事業譲渡
① 特徴
 合併も株式譲渡も会社丸ごとですが、事業譲渡は一部の事業だけを譲渡することができます。買い手にとってはリスクを限定できるメリットはありますが、手続きは煩雑です。

② 税務
 ”いいとこ取り”ができるので適格という概念はなく、簿価と時価との差額に法人税が課税されます。買い手にとってその差額はのれん(営業権となり、税務上5年で償却します。

 

4.会社分割
① 特徴
 イメージとしては合併と事業譲渡の中間的なもので、事業譲渡は経営資源を個別に売買し、合併は会社を丸ごと承継しますが、会社分割では部門単位で会社を切り出して包括的に買い手に承継させます
比較的大きい企業のグループ内再編や事業再生において優良部門だけを切り離す時などに使われます。

② 税務
 簿価と時価との差額に関して、売り手に法人税または所得税(みなし配当)が課税されるのが原則ですが、組織再編の要件を満たして適格分割に該当すれば、課税は繰り延べられます

 

 中小企業では経営者が高齢化しており、127万社が後継者不在で、その半分が黒字でありながら廃業してしまう可能性があると言われています。

 M&Aに関しては、仲介会社や銀行などが手掛けていますが、情報が分散していることや、信用不安への懸念などから相談しやすい状況になっているとは言えません。
国としても中小機構のデータベースを充実させて匿名で公開するサイトを作成し、事業承継を促す仕組み作りを進めているところです。
現状で登録されている約4400社の情報が8月以降に公開される予定で、今後10年間で60万社の事業承継の成約を目指すとされています。

 中小企業のノウハウや雇用を守るためにも”使える”仕組みができることが期待されます。